おいしいりんごができない木
小さな庭に立つリンゴの木
ある日、小さな庭に立っているりんごの木がありました。
しかし、この木は何もかもが小さく、おいしいりんごをつけることができませんでした。
近所の人々はこの木を見て、「なぜこんなに小さな実しかつけないのだろう?」と不思議に思っていました。
庭師の悩み
庭師は悩みました。薬をふりかけても、木は変わらず小さな実しかつけませんでした。
問題の原因を探るために、庭師は考えました。
「なぜこの木は小さな実しかつけないのだろう?」
しかし、目の前の現象にとらわれていたので、どうして小さな実しかつけないか、どうしてもわかりませんでした。
賢者の訪問
そこへたまたま村一番の物知りの賢者が通りかかったので、庭師は賢者にわけを話して教えてもらうことにしました。
「ぜひ、一度リンゴの木を見に来てくださいな」と庭師は言いました。
しかし、賢者は話を聞くだけで、一向に動こうとしませんでした。
庭師はふたたびたずねました。
「どうして見に来てくれないんですか?」
すると、賢者は言いました。
「もし、私がここで小さな実しかならない原因がわかったとしたら、どうなるだろうか。次にまた問題が起きたときに、また私のところに聞きに来るだろう。それでは、いつまでも半人前の庭師だ。」
問題解決への教訓
賢者は続けました。
「大事なのは、問題の根本的な原因を見逃しているからだ。」
庭師は聞きました。
「でも、私はリンゴの木を見てみたのですが、どうしてもわからなかったから、こうして質問しているのです。」
賢者は答えました。「根っこをみることだ。」
そういって、賢者はどこかへ行ってしまいました。
庭師は、賢者が本当の賢者であることを知っていましたから、
彼なりの考えがあって、そういっているのだと思い、
彼を信じることにしました。
庭師は考えました。
「根っこをみること。何が起きているのか調べよう。そうすれば何かわかるかもしれない」
彼は行動しました。
根っこを掘り起こし、土壌や水分、日光の状態を調査しました。
土壌の水が少なくて、乾燥していたのです。
水やりをおこなったら、無事おいしいリンゴができるようになりました。
この物語から私たちは何を学べるでしょうか?
庭師が問題を解決できなかった理由は、
彼が「小さな実しかできない」という現象に囚われていたからです。
彼はその現象を受け入れてしまい、原因を探ることを怠っていました。
問題を解決するためには、目の前の現象だけでなく、
その背後にある根本的な原因を見つける必要があります。
このりんごの木から学ぶ教訓は、私たちが直面する問題に対しても適用されます。
現象だけに目を向けていたら、問題は解決しないこともあります。
問題解決においては、表面的な現象だけで満足せず、
根本的な原因を探求する姿勢が大切です。