心身制御とは
私たちの一般的な解釈では、心と体は別の物であるという認識だと思います。
現代の医学や心理学もそういう解釈の上になりたっています。
しかし、心と体が分けられない一体のものだと考えることもできます。
びっくりしたときの心の動揺は体の反応として、
目を見開いたり呼吸を一時的にとめたり、
全身を緊張させたりするなどして現れます。
また、動きを制限された状態を長続きさせるとイライラしてきます。
ですから、心と体を分けずに考えるという考えには一理あります。
心身とは、心と体、という二つのものを
単純にあわせたものではありません。
心身は、あなたのすべてです。
五感を通して入ってきた情報を脳で処理し、
必要な記憶から出し入れし、最終的に判断し
全身の筋肉を動かしたり止めたりする、
という活動すべてを含むもの、それが心身です。
それらの活動の多くが無意識的に行われているのですが、
意識を向けることができれば、よりはっきりと心身の活動を感じることができます。
それらのすべてを監視し、よりよく制御することが
私たちができることです。
というか、それしかできないのです。
あなたがドアを押すときも、あなたがやっていることは
自分の心身を使い、ドアを押すという指令を実行できるように
力を発揮します。
その力がドアにつたわるとき、ドアは開くのです。
相手に自分の考えを伝えることはできても、
それを取り入れるかどうかは相手次第ですから、
こちらから手出しできませんし、するべきでもありません。
生まれてから死ぬまで、私たちができることは
この心身の活動を制御していることだけです。それだけが確実にできます。
成功できるかどうか、お金持ちになるかどうか、
競技で一番になれるかどうかは、まったくわかりません。
ただ、心身の制御ができていない人よりも制御できている人のほうが、
その可能性は大きくなるでしょう。
失敗も、思わない結果もおきたとしても、
そこで心身の制御ができる人とできない人とでは、はっきり差が出ます。
勉強も仕事も家事も子育ても介護も、テーマがいくら変わろうとも、
自分の心身の制御がどれぐらいできるかどうかにかかっています。